2023.01.30
マネされないブランド戦略
工務店運営

スターバックスに見るブランド戦略

よく、「モノでなく、コトを売れ」という言葉を耳にします。ブランド会社としているスターバックスは、本当のところ何を売っているのでしょうか?もともとのブランドコンセプトは「本物志向のコーヒーを売る」らしいので、上質なコーヒーが売り物だったのでしょう。

スタバがここまで成長するきっかけとなったのが、ブランドコンセプトを変えた時です。「第三の場所」の提供すること。これが、スターバックスの売っているモノです。職場でも家庭でもない、欧州にみられるパブのような場所をつくりたいという想いがブランドコンセプトの源です。

スタバブランド戦略のシナリオ

「ゆったりと過ごせる場所」をつくりたい。これを実現させるためにスタバは「誰に嫌われるか」をハッキリさせました。それは、「忙しい人たち」です。あえて悪く言えば、時間に追われている営業マンはちょっとした空き時間にカフェを利用し、10分足らずで携帯でメールチェックしコーヒーを流し込みます。

スターバックスはそれを良しとしなかったのです。スタバはゆったりと流れる「第三の場所」を売ります。「忙しい人たち」はそれを壊してしまうのです。だからスタバはゆったりとしたインテリア・BGMにしています。「全員に愛される必要はない」、ブランド戦略にはこの覚悟が必要です。ブランド戦略の入り口は差別化です。スタバは見事にそれを実行しています。

一見、不合理なブランド施策

スターバックスのブランドコンセプトは「第三の場所」です。あらゆるブランド戦略の軸となっています。雰囲気(間接照明・BGM・面積当たり席数)・出店(プレミアム立地・クラスタリング)・直営方式・スタッフ(バリスタ育成)・メニューなど、すべて戦略の軸は「第三の場所」をつくることが目的となっています。

その中で特に重要な戦略があります。いわゆるコア戦略は「直営方式」です。急速店舗拡大を狙う企業は、通常フランチャイズ方式をとります。なぜならば、直営方式は、デメリットが大きいです。ハイコスト・ハイリスク・総資本利益率の低下・出店スピードの低下などなど。事実、投資家たちは猛反対したそうです。

なぜ、不合理な戦略を選択するのか

スターバックスはそれでも、かたくなに「直営方式」を実行しました。理由は明確です。直営方式でなければ、理想とする「第三の場所」を提供できないからです。スタバの表面的な施策はマネされるでしょう。事実、スタバを模倣しているカフェ・企業は多いです。

直営方式戦略は数々のブランド戦略の要です。直営方式だから、立地戦略もバリスタ育成も成立もしくはより活きます。スターバックスの一部をマネすることはできても、すべてをマネすることは大ごとです。最大の難関はデメリット戦略である直営方式を採用しなければならないからです。

ブランド戦略のコアはデメリット戦略であることに意味があります。なぜ、デメリットをしてまで、その戦略を採用するのか?言うまでもなく、それがコンセント(動機)に深く関係しているからです。結局は魂の話なのです。

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