2025.04.05
イメージを現実のものとするブランドガイドライン

ブランドガイドラインとは…

工務店のブランド戦略が成功するためには、単なる「認知」としての社名ではなく、顧客の頭の中に深く刻まれる「ブランドイメージ」を築くことが不可欠です。そのイメージが一貫性を持ち、現実のものとして受け入れられるためにはルールが必要です。それがブランドガイドラインです。ブランドガイドラインとは、工務店のブランドイメージを統一し、継続的に維持するためのルールや指針をまとめた文書です。ロゴやカラー、フォントの指定だけでなく、ブランドの理念やメッセージのトーン、使用すべきビジュアルスタイルなどが含まれます。

ガイドラインがしっかりと定められていることで、社内外の関係者がブランドの方向性を正しく理解し、一貫したブランドコミュニケーションを図ることが可能になります。ブランディングは会社経営そのものです。会社のビジョンを整理し向かっていく方向を再確認することが必要です。ブランドガイドラインとはそれを実現するための細かなルールブックです。すべての戦略の軸であり。また1ページ1ページが戦略そのものと言えます。

ブランドガイドラインの構成要素

ガイドラインの構成要素は以下の4つとされます。

① ブランドコア

② ビジュアルアイデンティティー

③ リアルコミュニケーション

④ チームブランディング

①ブランドコアとは工務店経営のコア、経営方針そのものを指します。ブランド戦略においてもっとも大切なことは「絞り込み」です。全方位に向かって推し進める出なく、誰に向けて何を訴えていくのかを見つめなおします。「自分たちが何をやりたいのか。」、「誰に好かれたくて、誰に嫌われてもいいのか」を明確にします。具体的には、ブランドキーワード・ブランドメッセージ(キャッチコピー)・ミッション(社会への役割)・世界観・ポジショニングマップ・ペルソナ・設計コンセプトなどがあげられます。

②ビジュアルアイデンティティーとは世界観に合わせて見た目をそろえることです。いわゆるデザインルールです。具体的にはロゴの使用ルール・ブランドカラー(キーカラー・サブカラー)・フォントのルール・印刷物のルール・WEBサイトのルール・SNSのルールなどがあげられます。会社が放っているビジュアルの影響は大きいです。どんな素晴らしい方針やメッセージを掲げても、1枚の画像がそのイメージをつくってしまいます。自分たちのブランドコアを決めたら、徹底的にその世界観に合わせたビジュアルルールをつくります。お客さまの頭の中に、ブランド名とそのビジュアルをセットでイメージ認知させます。そのために細かなビジュアルルールを設定し維持します。

リアルコミュニケーションとチームブランディング

③リアルコミュニケーションとはお客さまが来店されたときにその世界観を維持するためのルールです。具体的には、服装のルール・モデルハウス(ショールーム)のルール・身だしなみ・立ち居振る舞い・言葉の統一・スタッフの呼び方・接客のルールなどがあげられます。美しい広告を見て、来店されたお客さまを幻滅させるわけにはいけません。現場管理のルール・施工管理スタッフのユニフォームなんかもここに分類されます。ブランドの維持とはすべてのタッチポイント(お客さまとの接点)を同じ世界観で感じてもらうことです。ブランドガイドラインとはすべてのタッチポイントを洗い出し、そのタッチポイント1つ1つに明確なルールを設けることです。コミュニケーションの「トーン&マナー」もしっかりと守ります。

④チームブランディングはインナーブランディング。役割とすると採用や教育、PDCAになります。ここは直接のお客さまからは見えないところかもしれません。ですが、表面的なブランディングは長続きしません。ブランディングは見えない部分が重要です。白鳥の水面下の必死さをしっかりとルール化しておきます。具体的には、ブランドレクチャー(新卒教育・中途教育)・採用のルール・宣材写真のルール・読書会・オフィスのルール・ブランドディテール(アイデア集)などがあげられます。

ブランドはつくるものではなく、育てるもの

どれほど魅力的なブランドイメージを描いても、それが現実と一致しなければ、お客さまからの信頼は得られません。例えば、「環境に優しい企業」をアピールしているにもかかわらず、実際には環境配慮の取り組みが不十分であれば、そのブランドイメージは認知されません。ブランドは単なるデザインや広告ではなく、企業の「想い」や「哲学」に根ざすべきものです。ブランドガイドラインには、その信念を明確に定義し、組織の隅々まで浸透させる必要があります。

ブランドガイドラインを作成しただけでは意味がありません。何よりも大切なのは「浸透」です。そのためには①教育、②わかりやすさ、③評価と改善、がブランド戦略プロジェクト成功のカギとなります。この世の中に作っておしまいのマニュアルはたくさんあります。ほとんどがそうではないでしょうか。このマニュアルをとりあえず10年間有益に使い続けることができれば、その会社は立派なブランド会社になっていること思います。ブランドは「作る」ものではなく「育てる」ものです。毎年ガイドラインをブラッシュアップして、より強固なブランドを築いていきます。

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