2025.07.12
工務店経営|集客ルートをデザインする

紹介・口コミ|信頼が生む持続的な集客

地域に根差した工務店経営において、安定した受注を得るためには「集客ルートの確保」が経営の生命線となります。かつては紹介や口コミが主流だった集客方法も、時代と共に変化し、今やオンライン・オフラインを問わず多様なルートを戦略的に設計する必要があります。

最も古く、そして今もなお強力な集客ルートが「紹介」や「口コミ」です。信頼関係に基づくこのルートは、費用をかけずに高確度の見込み客を獲得できる点が魅力です。紹介率の高い工務店は、顧客との接点の“質”にこだわっているケースが多く、単に家を建てるのではなく「家づくりを通じた人生のサポート」を提供している傾向があります。ポイントは、①施工後のフォロー体制を充実させ、顧客満足度を高める。②OB顧客イベントやニュースレターで関係を継続。③紹介制度(紹介者・紹介された方両方に特典)を設ける。などがあげられます。ですが、デジタルが蔓延している現代、集客のメインとしてはどんどん先細りしていってます。

ホームページ|デジタル時代の主戦場

現代のお客さまは、家を建てたいと思ったとき、まずスマートフォンで情報を調べます。「とりあえず、住宅展示場へ行ってみよう。」という発想はなくなりつつあります。事実、住宅展示場の集客数は減っているし、住宅展示場で見学する物件数も減っています。5年前は展示場へ行けば、5物件は見学しました。今は2物件の見学までに落ち込んでいます。それは、事前にホームページを見て、見学する物件をあらかじめ決めてきているからです。

最初に、その工務店にたどり着くのが、ホームページやSNSアカウントです。つまり、これらは「最初の接点」としての役割を担っています。工務店におけるホームページは「会社案内」ではなく、デジタル上の「モデルハウス」・「営業マン」として機能させることが重要です。コンセプト・施工事例・イベント案内・代表者の想い・スタッフ紹介・相談会の告知など、住宅を建てたい人にとって有益な情報を載せることで、次の行動をとらせることが可能になります。次の動作とは、資料請求・イベント申込・個別相談申込へのクリックです。ホームページ中心の集客ルートにおいて、ここは重要な中継地点になります。この動作の確立を上げるためには、各コンテンツをただ設計するのではなく、1つ1つつなぎ合せなければなりません。その接着剤がブランドです。

インスタ→ホームページ→リアルイベントへ

デジタル上のモデルハウスであるホームページにどうやって辿り着かせるかは、集客ルートをつくるうえで大切なミッションです。その筆頭であるインスタグラムは、より気軽に接点を持つツールとして有効です。ビジュアルで訴求しやすく、家づくりに興味を持つ層と相性が良いです。ポイントは、①毎日投稿する。②強みである設計コンセプトが存分に表現されている建築写真であること。③リールを週一で投稿すること。などがあげられます。その他、ユーチューブ・WEB広告などもホームページへのリレーションコンテンツとして優秀です。大切なのはブランドの世界観を崩さないこと、集客とはファンをつくることです。お客さまを集めても、その世界観の本当の意味を理解していただけなければ意味がありません。理想は競合排除ができている状態で初回接客の状態をつくることです。デジタル時代の王道戦略です。

オンライン施策が主流となっても、「リアルな接点」は依然として強力な集客手段です。完成見学会・相談会・モデルハウスなどは、「来場」という具体的な行動を通じて信頼関係を築ける貴重な場です。特に、予約制の少人数イベントは質の高い相談に繋がるケースが多く、「この人に任せたい」と思ってもらえる接点になり得ます。ポイントは①イベントはターゲットに合わせて設計(若年層向け、二世帯住宅希望者など)。②ブランドの世界観が接客においても崩れていないこと。(話し方・服装・立ち居振る舞い)③イベント来場者フォロー(LINE登録→ステップ配信)も重要です。

自社に合ったルートの選択と「育成」

ご契約までのロードマップも不可欠です。不動産会社・金融機関など、家づくりに関わる他業種と連携することで、顧客紹介のルートを開拓できます。特に土地を持たない顧客にとっては、「土地探しから相談できる工務店」は大きな安心材料になります。また、地元で信頼されている会社とのパートナーシップを築くことで、幅広い層へのアプローチが可能になります。ポイントは紹介しやすい資料やパンフレットを用意する。②定期的な情報交換や勉強会を通じて関係を深める。③両者にメリットのある紹介であること。

集客ルートは一度つくって終わりではなく、「育てていく」ものです。特定のルートに依存せず、多角的に構築し、それぞれの特性に応じた育成を行うことが重要です。最も効果的な集客とは、「お客さまの知りたいタイミングで、信頼できる情報を、適切な形で届けること」です。そのためには、単なる情報発信にとどまらず、「誰に、どんな価値を、どう届けるか」を常に見直す姿勢が求められます。工務店経営者として、自社の強みと地域の特性を見極め、時代に合わせた柔軟な集客戦略を描いていきましょう。

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