2025.08.30
言葉の統一は企業文化を育てる

考え・価値観は言葉!言葉は文化をつくる

工務店にとって、ブランド戦略は年々重要度を増しています。差別化が難しい住宅市場において、単に「いい家をつくる」だけでは顧客の心に届きにくくなっているからです。求められるのは、さらに1歩踏み込んだ差別化です。どうすればお客さまに会社のファンになってもらえるか?、会社の雰囲気に独特の世界観をつくることができるのか?その鍵は、「言葉の統一」にあります。一見、地味に思えるかもしれません。しかし、言葉を統一することは、企業文化を育み、ブランドを強くするために欠かせない基盤です。

人が集まるところには、必ず「共通言語」が生まれます。スポーツチーム、学校、企業、そして国家に至るまで、言葉はアイデンティティを形成する力を持っています。たとえば、工務店でよく使う言葉ので「設備屋さん」、「電気屋さん」などを総称して何と呼んでいますか?業者・下請け・協力会社・パートナー会社・・・いろいろ呼称があります。その工務店スタッフがそれを「どう呼んでいるのか」によって、会社の雰囲気が変わります。会社の見え方が変わります。それは会社の理念・方向性によって決まってきます。言葉の統一は、社風をつくり、会社の文化をつくります。

工務店における「言葉の統一」の効果

例えば、「自分たち」のことを「私たち」と呼ぶのか?「われわれ」と呼ぶのか?「僕たち」と呼ぶのかで印象が変わります。これらがバラバラでは、お客さまには一貫性のない印象を与えてしまいます。逆に、すべての発信・対話において一貫した言葉の統一がなされていれば、その工務店の世界観が深く、強く伝わります。

言葉統一の効果言葉を統一することによって、以下のような大きな効果が得られます。

1. 顧客の信頼を高めるブランドにおいて最も大事なのは一貫性です。言葉の統一は「この会社はブレない」「何を大切にしているかが明確」と感じさせ、顧客の信頼を高めます。家づくりという人生最大級の買い物を託す相手として、安心感を与えることができます。

2. 社内の意識統一が進む社内で使う言葉が揃えば、スタッフ一人ひとりが「私たちは何のためにこの仕事をしているのか」を自然と意識するようになります。新人教育もスムーズになり、組織の方向性がぶれにくくなります。これは小規模な工務店ほど効果が大きいポイントです。

3. 採用・育成にも好影響を与える明確な言葉でビジョンや価値観を発信している企業は、共感する人材を集めやすくなります。採用活動でミスマッチを減らし、理念に共感する仲間を増やすことができます。また、スタッフの成長過程でも、共通言語があることで判断基準が明確になり、主体性を育てやすくなります。

4. ブランディングが色濃く反映される広告やSNS発信、イベント、モデルハウスなど、あらゆるブランディング活動においても、統一された言葉をベースにして展開できるため、世界観がより深まり、ブランドイメージが加速度的に浸透します。

言葉を統一するためのステップ

ステップ1|ブランドコンセプトを明文化する

まず、自社のブランドの核を言語化します。ミッション(使命)、ビジョン(目指す未来)、バリュー(価値観)を整理し、簡潔な言葉でまとめます。例:ミッション:「家族の未来を守る家をつくる」ビジョン:「自然と調和する街づくりのリーダーになる」バリュー:「誠実・革新・共感」

ステップ2|言葉のガイドラインをつくる

接客マニュアルや広報資料だけでなく、日常の言葉遣いまで統一できるように、言葉のトーン&マナー集(トーンマニュアル)を作成します。例えば:「お客さま」ではなく「ご家族」と呼ぶ「高性能住宅」ではなく「未来基準の家」と表現するなど。

ステップ3|社内研修・浸透活動を行う

作っただけでは意味がありません。全スタッフに向けた共有ミーティングや、接客ロールプレイング、社内ポスター掲示などを通じて、日常的に言葉の意識を高めます。特にリーダー層が率先して正しい言葉を使うことが重要です。

ステップ4|定期的に見直す

ブランドも企業文化も、時代や組織の成長とともに進化します。1年に一度は言葉のガイドラインを見直し、必要に応じてアップデートしていきます。

言葉が会社の未来をつくる

工務店にとって、ブランディングは「モノ(家)」の話ではなく、「コト(体験)」と「ヒト(関係性)」の話になっています。その中心にあるのが「言葉」です。統一された言葉は、スタッフをまとめ、顧客を惹きつけ、企業文化を育み、未来の成長を支えます。「家づくりの言葉」を整えることは、「会社づくりの第一歩」です。小さな一言の違いが、大きなブランド力の差を生みます。今日から、あなたの工務店でも、「言葉の力」を見直してみませんか?

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