2025.01.25
ポジショニングマップで目指す場所を見える化する

自社ブランドとマーケットとのすり合わせを

現代のブランディングにおいて、競争が激化する市場の中で自社の位置を正確に把握し、差別化を図ることは欠かせません。そのための有効な手段として注目されているのが「ポジショニングマップ」の活用です。ポジショニングマップは、商品やブランドの相対的な位置を視覚的に表現するツールであり、戦略的な意思決定に役立つだけでなく、チーム全体で目指すべき方向性を共有する強力な方法でもあります。

ポジショニングマップは、主に2つの軸を用いて、特定の市場における自社および競合の位置を視覚的にプロットしたグラフです。縦軸と横軸には、消費者にとって重要な評価基準(例:価格・品質・デザイン・機能性など)が設定されます。このシンプルな視覚化によって、自社の現在の立ち位置や未開拓の市場領域(ブルーオーシャン)を明確に把握することができます。例えば、縦軸に「価格」、横軸に「品質」を設定した場合、高価格・高品質の領域は高級ブランドが占める一方、低価格・高品質の領域はコストパフォーマンスを重視するブランドの位置を示すことになります。

ブランド戦略における役割

ポジショニングマップは、ブランド戦略において非常に有用です。特に、以下の3つのポイントでその価値を発揮します。

①ブランドの独自性を明確化する

ポジショニングマップは、競合ブランドと比較したときに自社の差別化ポイントを明確にする手助けをします。ブランドの独自性を強調することで、顧客に選ばれる理由を提供し、ブランドロイヤルティを高めることができます。例えば、高価格でありながら環境に優しい製品を提供するブランドがあった場合、そのポジションがマップ上で明確に示されることで、「プレミアムでエコ志向」という差別化されたメッセージを発信しやすくなります。

②ブランドの成長戦略を支援する

市場の中で自社のブランドが成長するためには、どの方向に進むべきかを知ることが重要です。ポジショニングマップを用いることで、未開拓の市場セグメントや競争の少ない領域を特定し、そこに向けた戦略を立てることができます。例えば、既存の商品ラインが「高価格・高品質」セグメントに集中している場合、次の展開として「中価格・高品質」セグメントをターゲットにする戦略を検討することが可能です。

③ブランドの一貫性を保つ

ポジショニングマップは、ブランドの価値提案が市場全体の中でどのように位置付けられているのかを確認する手段でもあります。一貫性のあるポジショニングを維持することで、顧客に対するブランドの印象を強化し、信頼を築くことができます。

マーケティング戦略における役割

ポジショニングマップを活用することで、マーケティング戦略をより明確にし、実行可能性を高めることができます。そのメリットは以下の3点に集約されます。

①自社の現状を把握する

ポジショニングマップを作成することで、自社の製品やブランドが市場の中でどの位置にあるのかを客観的に把握できます。ブランディングはエゴイスティックになりがちです。軸を変えるわけではありませんが立ち位置の確認は必要です。これにより、自社の強みと弱みが明確になり、必要な改善点や重点的に強化すべき領域が浮き彫りになります。

② 未開拓市場の発見する

ポジショニングマップを用いることで、競合が密集する市場セグメントだけでなく、競争が少ない「ブルーオーシャン」の領域を特定することが可能です。このような市場では競争が少なく、高い収益性を期待できます。

③ターゲット戦略の明確化する

顧客のニーズや市場の動向に基づいて、ポジショニングマップを作成することで、ターゲット層をより具体的に定めることができます。いわゆるペルソナマーケティングが可能になります。これにより、マーケティング活動の効率化と効果向上が期待できます。

ポジショニングマップの作り方

ポジショニングマップは以下の手順に従って作成します。

①市場調査を実施する

最初のステップは、顧客や競合についてのデータを集めることです。市場調査を通じて、顧客が商品選択時に重視する要素や、競合製品の特徴を把握します。

②軸を設定する

調査結果を基に、ポジショニングマップの縦軸と横軸を設定します。設定する軸は、ターゲット顧客にとって重要であり、競争を明確化する要素であることが求められます。自分たちの強みを軸にすることをお勧めします。

③自社と競合の位置をプロットする

次に、自社の商品やサービス、競合他社の位置をマップ上にプロットします。これにより、競争の激しい領域や、まだ誰も手を付けていない市場が明らかになります。

④戦略を立案する

最後に、ポジショニングマップを基に戦略を立てます。たとえば、競争が激しい領域を避け、未開拓の市場を狙う戦略や、既存の強みをさらに強化する戦略を検討します。

ポジショニングマップは、マーケティング戦略の立案において欠かせないツールです。市場全体を可視化し、競争優位を築くための道筋を示してくれるこのツールを活用することで、自社の強みを最大限に活かしながら、明確な方向性を持った戦略を実行することが可能です。市場環境が絶えず変化する中で、ポジショニングマップを用いて、目指すべきゴールを見える化し、競争力のある戦略を実現していきましょう。

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